2011-05-13
モダン・ライフ
自然の移ろいとともに、長い年月という時間がただあるがままに流れていく、2008年制作のフランス映画です。
あらすじ:
写真家集団“マグナム・フォト”所属、ピューリッツァ賞受賞のジャーナリスト、レイモン・ドゥパルドンが、南仏の美しくも厳しい自然とそこに生きる人々をフィルムに収めたドキュメンタリー。南仏・セヴェンヌ村。厳しい山間の土地、必要最小限の状況下で、様々な問題にぶつかりながらも生の自然と向き合い続ける農家たちの、真に人間的な“モダン・ライフ(現代の生活)”をカメラは捉えていく。
モダン・ライフ - goo 映画より
ー 若い夫婦、ミシェルとアマンディーヌは、都会暮らしに限界を感じ、農家の暮らしを夢見て羊牧場を買うことを決心します。一方、何世代も続く農場を持ち、自身も親を継いで農家で働くダニエルは、永遠に終わることのない厳しい農作業が耐えられないとこぼします。
どんな場所にいても、どんな生活をしていても、今のこの時から逃げ出すことはできません。わたしたちは、今目の前にある状況に不満を抱き、今以外に満足できる手段があると考えがちです。
「もし(将来)〜を持つことができたら、私は幸せになれる」
「もし(過去)〜だったら、私は幸せだったのに」
今という時をつねに、"長い人生における通過点"としてしか見ていないのです。わたしたちは、”今”にしか実在できないというのに…。
ー 農業ひとすじの人生を送ってきた兄弟、83歳のレイモンドと88歳のマルセル。春夏秋冬、厳しい自然の中で、羊飼いとして毎日羊を散歩に連れ出すのが日課でした。何十年という月日が経ち、高齢となった2人は、長年大切に育てて来た羊たちを手放さなければならなくなったのです。少しずつ増やしてきた自分たちの所有物を、本当は誰の手にも渡したくないと打ち明けます。
所有すればするほど、私たちはそれらが失われるのを恐れ、守ろうと必死になります。また所有物に自分自身のアイデンティティを見いだし、それが侵されると自分という人間が否定されたような気持ちになりがちです。
願望、思い、時間は恐怖を作り出します。どんな場所にいても、どんな生活をしていても、わたしたちの現代の生活=モダン・ライフは、それらを容易に生み出しているのかもしれません。
この映画に、クリシュナムルティや、禅のスピリットを感じました。
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